消えないで、媚薬。
なのに、私が考えてる間ずっと指を絡めてくる。
視線を感じてチラ見してしまう。
「なに?言っとくけど手加減ナシだからね?」
「ううん、真剣な香帆さんもやっぱり可愛いなって」
「は?もうその手には乗んないんだから」
「じゃあ負けた方は勝った方の言いなりってことで」
「い、言いなり!?」
「あれ?自信ないの?一つだけ言いなりに出来るんだよ?」
「わ、分かった…」
これでもオセロは得意な方。
負けたことはない。
大丈夫。
今回も勝てる。
負ける訳にはいかない…!
そういう彼も弱くはない。
結構攻めてくる。
読み合い合戦だ。
知らん顔して誘導してるのバレませんように…!
よし…!引っかかった…!
返すとこなくしてやる…!
「あ、クソ…!」
焦ってる、焦ってる。
まずは相手を有利だと思わせておいてのどんでん返しよ…!
角を取られても内側で返り咲き。
ちょっと卑怯なやり方かもだけど勝負の世界だから諦めてよね。
「あ〜ぁ、負けちゃった……」
ん?何か悔しそうじゃない!?
ニヤニヤしてる。
えっと、勝ったから私の言いなりになってくれるんだよね?
「じゃ、香帆さん。何なりとお申し付けください。俺に何して欲しいの?」
しまった………
勝ったはいいけどその先を考えてなかった……
私が彼にして欲しいこと…?
チラッとまた唇に目がいってしまう。
バカ、違うこと考えなきゃ。
「えっと……どうしようかな…?」
トントンと肩を叩かれ見ると
「コレでしょ?」って唇を突き出してキス真似してくる。
だから「あっち向いて」と背を向けさせた。