消えないで、媚薬。
時田くんにいきなり図星をつかれて真っ赤になってしまう。
「あ…っ、いや…ハハハ」なんて下手な愛想笑いバレてないかな?
あの日の夜を思い出しちゃって顔が熱い。
「すみません、烏龍茶ひとつ」とさり気なく店員さんに注文してくれる。
「あ、ありがと…」
「別に。調子悪いとかじゃないよな?」
「うん、それは大丈夫」
「仕事柄控えてるとか?」
「うーん、だね?大型連休だったら朝まで飲むかも?なぁ〜んて…」
「お、じゃあその時は一緒に飲もうぜ」
あ、ヤバッ……完全にデマカセなんだけど本気にされちゃったやつ?
そしたらすかさず隣のさとみが助け舟を出してくれた。
「ダーメ!香帆の大型連休は私が先約済みでーす!女子会なの、ごめんね〜」
さとみ〜!神対応!!
「じゃあその日だけ女になるわ」
「は?どうやって?女装か!?」
あれ?さとみもう酔ってる!?
口調が荒いぞ?
わ、目が据わってる………
「そうだな……性転換手術も悪くないかも」
一瞬間が空いてさとみと二人で爆笑した。
ねぇ、こんなこと真顔で言っちゃう面白い人だったっけ?
「時田……時田最高…!アハハハ!」
「いや、至って真面目だ」
「時田くん……もういいから…」
お腹がよじれる。
久しぶりにお腹から笑ったかも。
しかも中毒性半端ない。
何度も想像しちゃって笑いが止まらない。
「あのなぁ、笑い過ぎ」
「あ〜もう無理!トイレ!」とさとみが席を立つ。
他の皆は各々で盛り上がっててふと目が合う。
またしてもプッと吹き出す私の頭を自然と撫でる時田くん。
顔が近付いてきてちょっと身構えてしまったけど耳元でこう言われた。
「だってそうでもしなきゃ参加出来ないんだろ?」