消えないで、媚薬。
(ダメだよ、今日は遅くなるしもう外に出ちゃダメ)
(香帆さんのことばっか考えてたら寝れない…)
(香帆さんが家に帰るまで心配)
(電車?タクシー?)
(迎えに行こうか?)
ひ、ひとつ返せば4つ5つ返ってくるじゃん!
その時女子トイレのドアがノックされてさとみの声がした。
「おーい、香帆?大丈夫?もう皆二次会行くよ〜?外で待ってるけど」
「あ、すぐ行くね!」
「分かった〜」
とりあえず急いで
(終電で帰るから大丈夫!駅からはタクシー使うし心配いらないよ?ありがとね!おやすみなさい)と送った。
慌ててトイレから出ると、バッグと上着を持って待っててくれた人物が。
「え?時田くん…?わわ、ごめん!持たせちゃって」
「いや、さとみに変わってもらった」
「そうなんだ…ありがとう」
バッグと上着を受け取って行こうしたら私の頬に彼の手が触れてきた。
思わず顔を上げるとまた熱い視線。
「酔ってもないのに顔赤いな?」
「そ、そうかな?」
そんなに真顔で見つめられてもどうしたらいいのか分からない。
いくら鈍い私でも気付いてしまう。
きっと私を落とそうとしてる瞳。
「せっかくお酒飲んで酔わせていい感じになろうと思ったのに」
「え?」
「俺、かなりこの日に賭けてたんだけど?」
「ん?その冗談には乗るべき?」
「あえて相手居るのかとか聞かないから今だけ時間もらっていい?」
「え?時間?少しくらいなら……でももう皆外で待ってる…っ!」
外で待ってるんでしょ?って言おうと顔を上げた瞬間、勢いよく壁に押し倒された私は目を見開いたまま。
すぐ前には時田くんが目を閉じている顔。
え?ウソ……ウソでしょ!?
柔らかい唇が激しく重なっている。
身体は密着してるし抵抗する手も押さえられて身動き出来ない。
時田くんが飲んでいたお酒の味が口の中に広がっていく。