消えないで、媚薬。
「この状況で帰れとは言えないから……来る?」
「うん…!エヘヘ」
そんな満面の笑みで来られても困るんだけど。
でもそんな彼に少なからず胸キュンしてしまっている私。
本当、自分がこんなんだから困る。
エレベーターに乗り込んでも
「ストップ!キスはナシだからね?」
と釘を刺す。
近付いて来る顔を全力で阻止するも連れ込んでんの私だよなぁ。
この矛盾だけは説明つかない。
「ま、いいや。ちゃんと約束守ってくれたから」
「え?」
「お酒、控えてくれたんでしょ?」
全然飲む気になれなかった。
最初の生ビールでさえ罪悪感が……
お酒は大好きなのにこんな自分初めてよ。
それほどキミが頭から離れなかった。
「ま、まぁ……なんかずっと頭のこの辺で慶太の声がしてた。酔わないで〜って。バカみたいに守ってしまったわ」
力なく笑いながら言ったら手を握られた。
「これはいいでしょ?」って可愛く聞かないで。
さり気なく恋人繋ぎだしジーッと見過ぎ。
「すぐ赤くなる香帆さん可愛い」
うぅ……やっぱり気付かれたか。
すぐに顔に出るとこも気をつけないと。
鍵を開け部屋に入る。
電気のスイッチを手探りで探す手に重なる大きな手。
「え?ちょっと…電気…」
「そのままでいいよ」
後ろからハグされ耳元でそう言われると力が抜ける。
「やめてよ…」と振り向いたらもう彼の吐息が目の前にあった。
暗闇でも分かる距離感。
抵抗する手は指を絡めて壁に押し当てられ、逃げる隙もないほど舌が中に入ってくる。
いつも以上に激しくて腰が砕けそう……
ハグしたいのに押さえつけられてるもどかしさ。
膝に力が入らなくなってその場に崩れ行く身体。