消えないで、媚薬。
和食屋さんに入って注文した後も話は途切れなかった。
懐かしい話題も多く笑ってばっかで頬筋が痛い。
「1杯だけ飲むか!」の一言に快く賛同してしまってた。
途中一度だけ携帯を確認したけど慶太からの連絡はなかったからカバンにしまい込んでまた話に花を咲かせた。
カウンターで並んで食べてたら話す時は顔が近いし自然と肘が触れたり、笑い合うとボディータッチだってする。
「食わないんならもらうぞ?」って私のおかずをつまみ食い。
「代わりにこれやる」とお箸でつまんだポテサラ。
口の前まで持ってこられて「好きだったろ?」って。
はて、私そんなこと言ったっけ?
好きは好きだけど。
でもこれって………アレだよね?
生ビール1杯じゃ酔えてませんけど?
どうリアクション取るべき…?
「何なら口移ししてやろうか?」
「ハッ?何バカなこと言って…」
「だったらさっさと食えよ」
いらないんだけど………
ほらほらって口に近付けてくるから仕方なくパクっと食べた。
あ、普通に美味しい。
耳に髪をかけてくれる彼の指に視線を向けるとびっくりするくらい穏やかな笑顔でこっちを見てる。
「本当、美味そうに食うよな高野って。ずっと一緒に飯食ってたいわ」
「それは褒め言葉なの?食い気しかないってこと?悪かったわね」
少し拗ねてみせたら今度は口元に手が伸びてきた。
唇をなぞる指。
重なる視線。
「俺、高野に惚れてるんだぜ?褒め言葉に決まってるだろうが」
さらっとこんなセリフもスマートに言えちゃうんだね。
一体何人に言ってんだか。
普通にモテるだろうに。
「そろそろ帰ろっか」
「おい、俺の告白無視かよ」
「だって信憑性ないんだもん…」