消えないで、媚薬。




熱を帯びた瞳と真っ赤な顔。
ギュッと抱きしめられ顔を埋めてる。
荒い吐息を沈めてる。
思いきり欲情を取っ払ってくれてる。




「ごめん……そのうち治まるから…もう少し待って…ちょっとヤバかった…」




抱きしめる手が凄い力んでる。
必死に戦ってくれてるように見えた。
やり過ぎた……
びっくりするほど歯止め効かなかった……
今のは私が悪い。
何がお仕置きよ。




パッと手が離れ解放されたから離れて座った。
お互い溜め息ついちゃって苦笑い。
これでお仕置き終わり…だよね?




「コーヒー入れるね?」




「うん……」




ぎこちない空気が漂う。
お互いキャパ超えしそうになって恥ずかしさもある。
マグカップを置いてソファーではなく床に座り込んだら同じく隣に腰を下ろしてきた。
くっついてたい……らしい。
私の肩に頭が乗ってくる時は特に甘えたい証拠。




「もう怒ってない…?」




思いきって聞いてみた。




「まだ怒ってるって言ったら…また骨抜きにしてくれるの?」




「も、もう…!」




「さっきの香帆さんめちゃくちゃ最高だったよ」




「そ、それはもういいから……」




「最高のお仕置きだった」




「でもまぁ、ちょっと焦った……お仕置きとか言うから」




「ん?変な想像しちゃった?」




「うん……ちょっとね」




「え?どんなどんな!?」




そんな身を乗り出すほどのことじゃないでしょ。
でも今思うと笑けてくる。
私、想像力ぶっ飛んでるなって。




「ちょっと!笑ってないで教えてよ」




「いやいや、本当くだらないんだけど……お仕置きって真顔で言われたら普通ヤバイ方思い浮かぶでしょ」




「例えば?笑わないから言って?」




「え〜、例えば……手を縛ったり……目隠しされたり?私何されるんだろう?って一瞬血の気引いたけどねアハハ…」




いやいや笑うとこだから。
あれ?ドン引きしちゃった?
キョロキョロして何か探し出したかと思ったら私のスカーフで両手を縛り出す。







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