消えないで、媚薬。



「慶太……やめて?」




「やめたくない」




「何言って……」




「1分だけ待って…」




「ちょっ…」




まさか、あの時の仕返し!?
肩から背にかけて這う唇にビクン…と反応してしまう。
またキスマークつけられてる。
バストからも手が離れてなくてなぞられるたびに熱くなる身体。
再び耳たぶを甘噛みされて「いやっ…」と身体ごと振り返って後退る。




やっと離れられた………
これ以上はお互いがまたキャパ超えしちゃう。
もうちょっと自制してよ……
さっき謝ってきたくせに。




「香帆さん……ごめん」




こっちに来る気配がして「待って…!」と立ち上がった。




「ちゃんと分かるから…」




来なくても身体が発してる熱で分かる。
見えなくても感じ取れる。
一歩ずつ足を進めて止まる。
縛られた手を上にあげてすっぽりと慶太の首に通した。




ホッ……良かった。
距離感完璧。
ぶつからずに捕まえることが出来た。




「もしかして見えてる…?」




「そんな訳ないでしょ、何ならキツく縛り過ぎ」




「あ…ごめん…!外すね?」




「待って…!まだ、このままでいい…」




「え…!?」




私、何言ってるんだろう。
散々嫌がり喚き散らしてたくせにまだ取るなだって。
慶太も笑ってる。




「本当、香帆さん矛盾だらけだよ?」




「だって見えなくてもここに慶太が居るって分かっちゃうんだもん、凄くない?」




「うん……凄い」




「解かなくても今、慶太がどんな顔してるのか分かるんだよ…」




「え……」




「多分良からぬことを考えてるんだろうけど必死で抑えてくれてる…?」




「ヤバイくらい目隠ししてる姿、目に焼き付けてる…」




本当、正直でストレートだよね。
疲れた心が癒やされてくの……
だから私もたまにはストレートに言ってみたくなる。







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