消えないで、媚薬。
どっかで見たような綺麗な恋愛ドラマじゃない。
好きだから仕方ないで済まされる問題でもないんだよなぁ。
え、気持ち悪い……が大半占めてるよね。
しかも始まりがベロンベロンに酔った状態だから完全に私が悪い。
嫌われてフラれるまでの期間だって付き合い始めたはいいけど、これ…別れられる自信ない。
自分がこんなに押しに弱い人間だったなんて初めて知った。
というより、慶太に弱い。
しっかり……出来ない。
あの可愛い顔で言われたら……
そう、この顔で……
ハッと我に返る。
慶太の顔が目の前にあって覗き込まれてた。
「香帆さん、何考えてる?」
少し不安げな表情。
顔……近い。
直視出来ないから。
チュッと頬にキスしてきた。
恐る恐る見ると躊躇なく唇を重ねてくる。
こういう不意打ちも対処出来ないんだよなぁ。
情けない……
キスで誤魔化されてる気がしなくもない。
お互いまだ手探り状態だもんね。
これからそういう話もたくさんしていくのかな。
出来るのかな。
唇が離れて突然の顎クイ。
え…なに?
「香帆さん、キスに集中して」
わ、バレてる…!
考え事しながらのキスはモロバレだ。
「ご、ごめん…」って謝る私も私。
だって怒ってるから。
絶対怒ってるから俯いた。
でも、降ってきた言葉はちょっと違ってた。
「俺のこと知ったら…嫌われちゃうんじゃないかって不安になる」
「え?」と思わず目を見る。
伏せた視線。
初めて見る横顔かも。
「俺……全然ガキだから、好きな気持ちだけで突っ走っちまう…その結果、大好きな香帆さん困らせてる。俺だって好きで遅く生まれてきた訳じゃない…対等に付き合えるならそうしたいよ。でも今は香帆さんと離れたくない…ただそれだけ」