消えないで、媚薬。
声が震えてる……
正直に話してくれてるんだよね。
握ってくる手が温かい。
「香帆さんが欲しい……それじゃ一緒に居る意味にはならないの?」
ヤバイ……戦闘不能だ。
どんなに構えても
あらゆる攻撃に備えても
私は慶太には勝てない……
この破壊力……
肩に顎乗せられて後ろからハグされたら力なんて入らないよ……
「お願い……キスして?」
耳元で言わないで……
「ちゃんと、キスして?」
また、流される……
理性が崩される……
襟元をずらして肩あたりにキスを落としてくる。
首の後ろ……うなじ……耳……
反応する身体を振り切って彼の頬を包み込んだ。
目と目が合って少し見下ろしてる体勢。
「大丈夫だから……ちゃんと慶太のこと好きだよ?私だって好きで早く生まれてきた訳じゃないよ……でもそんなこと言ってたって何も始まらないじゃん……これからゆっくりでいい、少しずつでいいから二人の未来を話していこう?お互いが気持ち良く思い合えるように」
ね?そこだけは理解して…?
真っすぐ見つめ合う視線の先に同じ未来が見えてるといいな。
ニッコリ笑う慶太にホッとした。
「離れていかないよね?」
「私、離れるって言った?」
「ううん……俺、他の誰から拒絶されても全然平気だけど、香帆さんに拒絶されたらもう生きていけない…」
ウルッときてる瞳に若干戸惑う。
今までどんな寂しい思いして生きてきたの?
追々分かるとして、とにかく今はその思いに応えてあげなくちゃ…って母性が溢れちゃったのかも知れない。
「香帆さん離れないで……」
こぼれ落ちる涙にキスをする。
「泣かないの……男の子でしょ?」
「好き過ぎて泣けてきた…ハハ。何か俺、カホ先生に慰められてる?」
「そうだね、泣いてる園児が居たらそう言ってる」
溢れる涙を指で拭ってあげる。
愛しさがにじみ出て私も限界……
「でも慶太の涙を止めるにはこうするしかないね…?」
「うん…」って分かりきった顔。
その素直さが私の心を支配していくの……
また私から重ねた唇。
さっきのキスとはまるで違う、気持ちの入ったキス。
優しい……?
ううん、やっぱ激しい……
これでも抑えてるんだよ……?
キミのスイッチが入らないように
好き過ぎて泣けてきたなんて
こんな言葉……普通は一生かかっても聞ける言葉じゃないよ。
ありがとう……
私には勿体ないほどの言葉だよ……