消えないで、媚薬。
色々と気をつけてはきたものの、
いやいやインフルエンザ予防接種だって完璧だったはずなのに。
高野 香帆 24歳、保育士になり早2年……
現在絶賛風邪ひき中。
しかも世間では花の金曜日……なのに。
降園バスも代わってもらい早退させてもらった。
帰りがけに病院行ったらインフルエンザではない喉からくる風邪らしい。
ま、これは不幸中の幸い。
身体がだる重い………
関節が痛い………
熱は38度5分………
喉は死んでいる………
ベットに倒れ込んだところまでは覚えてる。
その後はもらってきた薬も飲まず意識が飛んだようだった。
どれくらい経っただろうか。
あ、そうだ。
園の皆にインフルエンザじゃなかったこと伝えなきゃ。
それと……慶太にも。
当分来ちゃダメだって念押ししないと。
LINEを開くと10件ほど慶太からメッセージが来てた。
(香帆さん……)
(カホさん……)
(かほ……)
(授業終わったー)
(香帆さんはまだ仕事かなー?)
一時間後。
(何で今日違う先生なの?バス降りてくるとこ見たかったのにー)
(めっちゃ楽しみの金曜日がぁ……)
(グスン……)
(香帆さん見れなかったから余計会いたくなってきたー)
(行っていい?)
最後に来たのから一時間半は経ってる。
ヤバイ、早く返信しなきゃ!
(今日は来ても会えません)
(ちょっと忙しいから今週は無理かな)
(来週会おうね!)
(今日のバスは交代したんだ、言うの忘れててごめんね?)
これで良いよね?
とりあえず喉乾いた。
フラフラしながらやっとこさ身体を起こして立ち上がる。
何かに捕まってないと歩けない。
こんな時の一人暮らしは寂しいよね。
熱も上がってんじゃないかな……?
頭がグラグラする。
熱で何も考えられない。