消えないで、媚薬。




すぐに買いに走ってくれたのか、冷えピタと氷枕で随分楽になった。
目が覚めてすぐ隣に慶太の姿が見えた時、安心感で涙が出そうになった。
優しく髪を撫でられ微笑む慶太。




「ポカリ、飲める?」




「うん……」




ずっと喉が乾いてたから飲みたい。
身体を起こそうとしたけど力が入らなくて「そのままでいいよ」と言われる。
マスクを下げられ訳のわからぬまま唇が重なった。




ダメっ……!移っちゃう……!!
何でこんな時にキスするのよ…!
あっ……!
口に流れ込んできたポカリ。
ゴクリ…と喉が鳴る。
口移しでポカリが体内に入っていく。




スーっと力が抜けて唇が離れる頃にはまだ欲しいと願ってしまう。
そんな思いを読まれたか、再び口に含み口移ししてきてくれた。
満たされていく身体。




「風邪なんか俺に移しちゃえよ」




「バカ……」




「ていうか、何で正直に言わなかった?俺、そんな頼りない?看病くらいさせろっつーの」




「こうなるから……」




「え?」




「絶対……キスして…くるから」




ほら、言い返せないでしょ?
だから慶太には言わなかったのに。
一番移したくない人なのに。




「もうしたよ?キス……まだする?」




そっとマスクを戻す。
今、全部の力を振り絞って出来る意思表示。
そんなの慶太には何の抵抗にもなってないことくらい分かってるけど、もうやめて……




「俺に移して…早く楽になれよ」




簡単にマスクは剥がされ唇を奪われる。
熱が籠もってる分ゆっくり犯されていく。
慶太の身体を押そうとする手は虚しくベットに押さえつけれた。
これ以上は力入んない。








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