消えないで、媚薬。
「はいはい、病人は寝てて?お粥作るから食べてね?キッチン借りるよー?」
「あ、慶太…」
「ん?」
「ポカリ、まだある?」
「うん、あるよ?」とペットボトルを見せてくれた。
「ありがとう」と手を伸ばす。
熱があると結構喉が乾く。
ゆっくり身体を起こしてくれたのに与えられたのはペットボトルではなくまたしてもキス。
「ちょっ…慶太っ」
声を出したから重なる唇からこぼれ落ちたポカリ。
え、また口移し…!?
首に伝って少しこぼれ落ちたポカリを慶太の舌が舐めて拭いてくれる。
こんなことされたら、いくら熱があるといっても反応してしまう。
「次は喋んないでね?」
「え?」
顔を上げたらまた唇を塞がれた。
喉にスーっと入っていく。
こぼさないで飲み終えたら「いい子いい子」と髪を撫でられた。
鼻歌交じりにキッチンへ消えていく後ろ姿。
「本当、移っても知らないからね…」
バカ………
余計熱が上がるっての。
こんな時に襲われそうになるのヤバ過ぎる………
抵抗出来ないし………
抵抗したくなくなる………
何かの間違いで
一線越えてしまいそうになる………
不可抗力だと理由付けてしまいそうになる………