消えないで、媚薬。



「本当、無意識に誘ってくるよね……」




「え?」




「食欲より今……性欲の方が勝ってるって言ったらどうする?」




「ちょ、何言って…」




「うなじなんか見せんなよ……色っぽくてこっち食べたくなる」




言われてハッと気付くなんて私……
どうしようもないな。
慶太が一人の男性で、
しかも高校生だってこと肝に銘じてたはずなのに。




「ご、ごごごめんっ……!」




カァーッと顔が火のように熱くなり
咄嗟に離れて首の後ろを隠す。




「ほーんと、思ってもなかった反応だね?天然というか…あざといというか」




離れた分ジリジリと詰め寄ってくる慶太。
狭い部屋だから逃げ場なんてない。
身体もままならないのに………
この瞳に捕まったら終わり。




「お腹すいたから……香帆さん食べていい?」




ねぇ、抵抗出来ないフリしちゃうよ…?




熱のせいにしちゃいそうだよ………




「ごめん…しんどいの分かってるけど、今日の香帆さんめちゃくちゃにしたい…」




壁に当たって逃げれない。
頭がボーッとする。
慶太が二重に見える。
ヤバ……また熱上がってる。




「ごめん……もう止まらないかも」




キスされた時点でこうなることはある程度想像出来ていた。
抵抗出来ないんだもん……
熱帯びた瞳で見上げたら慶太が止まらなくなるのは分かりきっていて……




それでもこの身を預けてしまう私は
理屈じゃ説明つかない想いに何度も縛り付けられて苦しんでるフリを繰り返すのだろう。
私だって苦しい………







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