消えないで、媚薬。
これも事実。
正しくは8日前までだけども。
そこまでは調べてないでしょ。
もう断固否定するしかない。
強行突破…!!
大丈夫、動揺しないポーカーフェイスは出来ている。
「ふーん、そう来たか」と更に一歩近付いて来て腰から引き寄せられた。
「ちょっと…!警察呼ぶわよ?」
「覚えてないんなら確かめてみようか?一発で思い出すかもよ?」
「えっ!?」
ていうかかなり近すぎ…!
こんなとこ誰かに見られたらヤバイ…!
「まだ思い出さない…?」
待って……この匂い……知ってる。
フワッと鼻をかすむ香水。
凄く……好きな匂い。
思わず顔を上げたらもう触れそうな距離。
「再現してみる?カホさん、俺にこうしたんだよ?」
そう言うと両手を持たれ彼の首に回された。
一瞬何が起きたのか理解出来なくて声も出ないでいたら……
「俺、絶対見間違わないよ?あなたはあの日のカホさんだ…」とジリジリ詰め寄る。
ダメだ……頭パンクしそう……
聴覚と嗅覚が完全に覚えてる……
この距離感も熱い眼差しも。
一瞬にしてあの日に記憶が戻る。
「これで思い出してよ……」
優しく重なった唇。
感触さえリアルに覚えてる……
心の奥が疼いて一気に体温が上がっていく。
私………このキスに溺れてた………
離れた後のまだ欲しそうな顔も知ってる。
「やっぱりカホさんだ……」ってもう誤魔化しきれない。
支えてもらわなきゃならないほど腰にきてる私は認めざるを得ないけど……
「本当にごめん、覚えてないの…」
「ハ?責任取ってよ、俺はあの日から何も手につかないくらい頭から離れないのに…」