ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
俺は胸騒ぎに足を引き留められることなどなく、渡された用紙に自分の都合のいい日程を書き入れ、近くにいた監査室のスタッフらしき人にそれを渡して、即座に更衣室に向かおうとした。
早くウチに帰るために。
それなのに・・・
「あの・・・・その必要は・・・ない・・・です!!!」
男性の・・・若干震えを伴った大声が聴こえてしまったせいで
俺は反射的にその場から動くのをやめていた。
再び静けさに包まれた大会議室。
誰もが皆、ワケがわからなくて思わず息を呑んだんだと思う。
「調査とか、必要ないです!!!」
さっきの男性から更に発せられた言葉。
その瞬間、室内は再び少しずつザワつき始めた。
その声の主の周囲にいた人間が揃って皆、後ずさりしたせいもあって、その人の周囲には若干空間もできていて。
会議室の後方ドアにいた俺からもその男性の姿を確認することができた。
「どういうコトですか?」
江草さんが語気を強めてそう問いかけながらその男性に駆け寄った。
「ボクなんです」
「・・・・・・」
「・・・・塩酸モルヒネ持ち出したのはボクです。」