ラヴシークレットルーム Ⅲ お医者さんとの秘密な溺愛生活
「俺だけでいい、ですか。」
『・・・・・・・・』
江草さんをグッと睨みつけてしまった俺。
俺の胸の中で伶菜が小さく肩を震わせた。
「森村先生にしろ、日詠先生にしろ、なんでそこまで高梨さんのことを想うのか気になりますよ。今回の事件と同じくらいに。」
溜息混じりに江草さんはそう呟き、俺に抱きしめられたままでいる伶菜の様子を伺った。
その視線に俺は嫌悪感を感じずにはいられず
『・・・・伶菜に触れるのも、俺だけでいいです。』
いつもは胸の中に潜んでいる自分勝手な欲望までも口にしていた。
「伶菜・・・ですか。へえ、独占欲強いですね日詠先生。来るもの拒まず去るもの追わずって感じなのに。」
『・・・・・・・・』
独占欲・・・か
確かに伶菜に再会する前の俺はそんなもの無縁だった気がする
「確かに彼女、可愛いですもんね。しかも隙がありそうだし。」
『・・・・・・』
「内緒で遊ぶんなら、彼女とかみたいな人、いいですよね。」
『・・・・・・』
明らかに冷たい笑みを浮かべなから俺に同意を求めるような視線を送ってきた江草さん。
彼のその言動に対して
嫌悪感だけでは留まらず、怒りが一気にこみ上げ、ついさっき森村にもしたように
相手の胸倉を掴みあげそうだった俺は押し黙ることで今度はなんとかその行為から逃れた。
「日詠先生、それでもボクに手を上げないなんて、さすがですね。この病院を背負う人間にふさわしい・・・・・」
『・・・・・・・・』
「どうやら彼女、ボクのことを怖がっているみたいなんで・・・・今日はこれぐらいにします。それじゃ・・・・」
怒りをこらえようと押し黙り続ける俺を気にも留めていないのか、さっきとなんら変化のない笑みを浮かべたままの江草さんも俺達の前から立ち去ってしまった。