お前は、俺のもの。

「本日はレセプションパーティーにご出席いただき、ありがとうございます」

「……」
鬼課長と笑顔で握手を交し、眉を下げてニコニコしている細身の優しそうな男性。このお方がオーナーの佐藤さんだったとは。
特に頑固そうに見えるわけでも、拘りが強そうにも見えない。初対面の私から見れば、本当に普通の人である。

「一ノ瀬さん、今日は可愛い人をお連れですね。会社の方ですか」
「はい。部下の満島です」
鬼課長に紹介されて、私は慌てて頭を下げた。
「は、初めまして。満島と申します」
笑顔で自己紹介したつもりだが、目が泳いで顔も引きつっていたかもしれない。
佐藤さんは私にはニコッと笑うと、鬼課長に何か耳打ちした。鬼課長は目を丸くして言い訳しているようで、耳を赤くして困った顔をする。

──珍しい。鬼が言い負かされている。

貴重な顔が拝めたと思い、心の中でニヤケてしまった。
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