お前は、俺のもの。
「佐藤さん、すみませんでした」
騒ぎが落ち着き、ツノを引っ込めた鬼課長は「招待客のいる中で迷惑をかけた」と、佐藤さんにお詫びした。
佐藤さんはパーティーがお開きになるのを待たずに帰宅するお客様の見送りをした後で、彼は首を横に振った。
「お嬢さんに声をかけた男性はお得意様のご子息で、普段は少しチャラいくらいの若者ですが、酒癖が悪いと聞いています。こちらも注意が足りず申し訳ありません」
と、佐藤さんは背筋を伸ばして頭を下げた。
さすがの鬼課長も慌てて、
「悪いのはこちらなので気にしないでください」
と恐縮している。
すると、佐藤さんは鬼課長に微笑む。
「今日は大切な彼女のために、寄り道せずに送ってあげてください」
──えっ、大切な彼女?寄り道?
一体、今まで二人がどんな会話をしてきたか分からないが、首を傾げる私に鬼は逆三角形の目を細める。
「ご心配なく。弱っている女を抱く趣味はないですよ。今日は、ちゃんと家に送り届けます」
「……?!」
とんでもないセリフをサラリと言う隣の鬼に、私はただ絶句した。