お前は、俺のもの。
「お姉ちゃん、起きて。もう夕飯だよ」
せっかくの安眠を、春奈のチャキチャキした声に壊されてしまった。
「なによぉ」
目を開けようとすると、電気の灯りが眩しい私はベッドの上でタオルケットを頭から被る。
春奈の声がした。
「一ノ瀬さん、来てるよ」
ダダダッ、とヨレヨレのTシャツを着たまま慌てて階段を降りて居間に顔を出す。
視界の端に、ダイニングテーブルの席で唐揚げを食べる鬼と遭遇する。彼も私に気がつくと、
「なんだ、寝てたのか。顔を洗ってこい。唐揚げがなくなるぞ」
と、まるで住人のように話しかけてきた。
言われたとおり顔を洗って戻る。
ダイニングテーブルのいつもの席。父と母が並んで座り、春奈の席には鬼課長がいて、私の席には春奈が座っていた。
何やら楽しそうに家族団欒の食卓で、母の作った唐揚げをみんなが美味しそうに食べていた。
母が「早く食べなさい」と、丸い折りたたみイスを用意して私のスペースを作ってくれたが、座る気になれなかった。
「私、あとでいいや。まだお泊まりセットの用意してないし」
と言い残して、部屋へ戻った。