お前は、俺のもの。

時間は二十二時を過ぎている。
鬼課長がお風呂に入っている間に、リビングとダイニングの片付けをザッとしてみる。
新聞はリビングに転がっていたビニール紐を見つけて縛り、雑誌はマガジンラックに入れておく。クリーニングに出すであろうスーツやワイシャツは、これもリビングで見つけた大きな袋に入れ、数足の使用済みの靴下は後で洗面に持っていこうと廊下へ出しておく。ついでに、放置された数個のゴミ袋も廊下へ出す。
ここで思ったのは、キッチンだけが綺麗に片付いていたことだ。
少し気になって、申し訳ないと思いながら冷蔵庫を少しだけ開けた。そして、豊富な食材に自然と顔がニヤけた。

──あの鬼は自炊ができる。

脳にインプットした私は、彼と一緒にいる以上、美味しい何かが食べられると期待する。


「部屋が綺麗になっている」

お風呂から戻ってきた鬼課長が、部屋を見渡している。
少し、嬉しそうだ。
私はキッチンにあったゴミ袋を持って近づいた。
「ゴミ置き場はどこですか?新聞やゴミ袋を捨てに行ってきます」
と言うと、鬼課長はそのゴミ袋をひょいと持ち上げた。
「いや。今日はもう遅いから、明日の朝に捨てに行こう。凪、風呂に入れ。洗面と浴室はここを出て左だ」

そうだった。

あんな時間まで昼寝してしまったから、鬼課長を待たすわけにもいかず、泊まりの支度だけして出てきてしまった。
いそいそとボストンバッグから着替えを持ち出して、「お風呂お借りします」とリビングを出た。
< 139 / 285 >

この作品をシェア

pagetop