お前は、俺のもの。
──鬼課長も、私と一緒?
手首を掴んでいた彼の手はいつの間にかなくなっていたが、私の手はまだ彼の胸の上だ。
「お前がどうしても嫌なら無理強いはしない。でも、俺はお前と一緒に寝たい」
「そ、それは、私が一ノ瀬課長に抱かれるって…?」
と、私は彼の胸から手を離す。
「凪を、抱いていいの?」
鬼が艶美な微笑みを浮かべ、クスリと笑う。
その色気に当てられっぱなしの私は、全身が火照ってドキドキと心臓が壊れそうだ。息を飲み込み、首を横に振るだけで精一杯だ。
鬼課長は、少し影があるように悲しそうな笑みに変わる。
「正直に言えば、喉から手が出るほどお前が欲しい」
「……っ?!」
本気なのか、それとも遊びなのか。驚きの連続で、頭の中がパニックだ。
見事な動揺っぷりな私を見て、彼は小さく笑う。
──一ノ瀬課長は立場ある人。好きになってはいけない。頭ではわかっていても、惹かれることってあるの?
何を言えばいいのか、どう動くのが正解なのか。
困惑する私の手を、そっと包むあたたかい手。
「何もしない。おいで」
鬼の瞳に吸い込まれるように、彼へと近づいた。