お前は、俺のもの。
旅行用に、と買った可愛げのないグレーのTシャツとハーフパンツのルームウェア。化粧も落とした、すっぴんの顔。
そんな私を鬼は大事そうに抱えて壁側へ寝かせ、自分も寄り添うようにして体を横にする。自分たちに肌布団を掛けて腕枕をして、彼は横で寝る私の顔を見つめた。
薄暗い部屋で間近に見る鬼の顔が、影との絶妙なバランスで色気が噴き出している。
──こっ、この顔の横じゃ……寝られない。
「心拍数上がりすぎて心臓壊れそうっ」とは言えないので、ゴクリと息を飲んで声を出した。
「か、顔が、すぐ近く…」
なんとも蚊の鳴くような声に、自分でもガッカリする。
「可愛いから、問題ない」
「へ?」
顔と顔、ほんの五センチほどの至近距離から言われ、喉元まで込み上げる勢いで心臓が暴れる。
鬼は隅々まで観察するように、私の顔をじっと見ていたが、
「凪、明日は早いから寝るぞ」
と言われて、サイドテーブルのライトが消された。