お前は、俺のもの。


ダイニングテーブルに並べられたトースト、目玉焼き、サラダ。
「凪はカフェオレ」
と、鬼課長は白いマグカップを私の前に置く。
「ありがとうございます」
と言い、温かいカフェオレの香りにホッと気持ちが落ち着く。
鬼課長の手にはブラックコーヒーだ。
二人で「いただきます」と言って食事を始めた。

自分のペースで食べる食事は美味しい。
しかし、沈黙も息苦しいので鬼課長に話しかけてみた。
「一ノ瀬課長は自炊されるんですね。ごめんなさい、昨夜に勝手に冷蔵庫を見ちゃいました」
と、彼の様子を窺っていると、返事はすぐに返ってきた。
「気が向けば自炊をするが、面倒だと思えば外食もする」
「自炊ができる人は尊敬します」
「こんなのは慣れだ。必要に駆られてやっていたら、こうなっただけだ」
「でも、毎日こんなステキな朝食が頂けるなら、毎朝早起きして一ノ瀬課長の…っ」
と、話の途中で鬼課長の長い指が伸びて、私の口を押し当てた。

「俺も毎日、凪と朝食が食えるなら大歓迎だ。その前に、凪、プライベートで課長呼びはやめて欲しい。凪と対等でいたい。それから、プライベートの時は?」
「…ん」

──プライベートの時はタメ口で。

鬼課長に軽く睨まれて、私の口から指が離れていく。眉間にシワを作る鬼課長。
私はカップを置いた。
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