お前は、俺のもの。

彼の目的は、アウトレットモールだった。
どの方向を見ても、目を引くお店がズラリと並んでいる。店先に「70%OFF」なんて張り紙があれば、引き寄せられるようにお店に入ってしまいそうだ。
長身の鬼課長の後ろをついて歩きながらお店を見ていく。ハイブランドなお店からリーズナブルなお店まで、行ってみたいお店がいっぱいだ。

「あの人、カッコイイ!モデルさんかな?」

そんな声に「ん?」と振り向く。そして初めて周りの若い女の子たちの視線が鬼課長に集まっていることに気づく。
「一人で来ているのかな?」
「ねぇ、声かけてみる?」
と、逆ナンしようとするセリフに気持ちが沈んでいきそうだ。
彼女たちは、きっと後ろを歩いている私を彼と他人だと思っているだろう。鬼課長と釣り合っていない自分だと、自覚していてもガックリする気持ちの矛盾さに苦笑してしまう。

「凪、歩くの速かったか」
と、聞きなれた声に前を向いた。

ふわり。

鬼課長の腕は私の肩を抱き寄せ、その綺麗な顔は私の顔へ近づく。「ドキリ」と胸が鳴る。
「この人混みだ。迷子になるとチビのお前は見つかりにくいからな」
と耳元で囁かれ、フッと笑う鬼。

「もう。自分は背が高いからって…」
と、私が文句を言うと、鬼は更に私を寄せて、
「凪、周りは気にするな」
と言われて頭にそっと唇が触れた。
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