お前は、俺のもの。
「今日はモデルルームに使用する食器や置き物を見に来ました」
鬼課長は桐谷さんに話をしている。桐谷さんも、
「イメージに合うものがあるといいね。存分に見ていってね」
と、頷いて微笑んだ。
食器類をゆっくり見て回る私。木製の棚に飾られたマグカップを見て、「あ」と声を漏らす。
淡いピンクのマグカップ。表面には大きな四葉のクローバーが描かれている。そして色違いに水色のマグカップもある。
──色違いのマグカップ。四葉のクローバーが可愛い。
自分で買おうと、二つを手に取った。
鬼課長の方を見ると、既に何種類かの食器類と四枚のランチョンマットを購入している。
彼も私に気がついて近づいて来た。
「凪、それも買う?」
と、手が伸びてくる。
「こ、これは、私が気に入ったものだから…自分で買います」
「じゃあ、それは俺からのプレゼントだ」
鬼課長が逆三角形の瞳を細めて、私の手からゆっくりとマグカップを持ち上げた。
桐谷さんのお店を出た私たち。鬼課長の両手には大きな紙袋を下げている。そして私の手にはマグカップの入った袋がある。
「マグカップ、ありがとうございます」とお礼を言うと、彼は再び目を細めて「ん」と短く返事をしてくれた。
桐谷さんは来月にお孫さんがご結婚を控えているらしい。未だお祝いを思案しているのだとか。
「お二人も、仲良くね」
桐谷さんに言われ、私の脳内がお花畑になっていたことは内緒だ。