お前は、俺のもの。

「凪、待たせて悪い。何かあったのか?」

困惑する私の隣に来たのは、肩を抱き寄せ逆三角形の瞳で優しく私を見つめる鬼課長だった。
周りの女性の視線を一気に引きつける彼の完璧な容姿に、マサミも「ワーォ」と顔を赤くして目を見開いて鬼課長に釘付けだ。

肩を抱かれて顔を覗き込まれた私は、ボソボソと口を開く。
「…二年前に別れた、元カレ、です」
それを聞いた鬼課長は、浩太の方へ冷やかな視線を移し、
「ふぅん。凪の元カレ、ね」
と呟いた。
浩太も鬼のその目に耐えかねたのか、「な、なんだよ」と若干怯んでいた。

鬼は浩太へ向き直ると、マサミを一瞥する。
「結婚してお子さんまでいるなら、過去のことなんてどうでもいいでしょう。凪のことは今後全て俺で染め上げるので、ご心配なく」

鬼は自分より目線の低い浩太を見下ろし、まるで格の違いを見せつけるかのような、自信に満ちた微笑みを浮かべた。

鬼の、人を射殺すほどの鋭い瞳に、私はゾクリと背筋を凍らせた。

──また、鬼が怒っている。
< 154 / 285 >

この作品をシェア

pagetop