お前は、俺のもの。


「…で、今に至る、というわけか」

加瀬部長に、俺は頷く。
「親父には先日のことを報告して「結婚相手は自分で決める」と言いました。さすがに少し大人しくなりました」
「そうか。いろいろ大変だったんだな」
加瀬部長は苦笑した。

しかし俺も思えば、落ち度があった。
「満島 凪のことは川添穂香に知られたくなかった。だから少し距離を置いて見守り、頃合を見計らって彼女に近づいて俺に慣れてもらおうと思った。そんな時、企画部から異動してきた小堺るみの俺に対するストーカー紛いの行動に限界を感じていた。小堺の異常さに、俺の行動から満島 凪の存在を気づかれるのを恐れ、もっと遠ざけないといけないのかと思っていたら…一ノ瀬不動産の兄貴からモデルルームのイノベーションの話を持ち込まれたんだ」

俺はペットボトルの水を飲む。
加瀬部長は俺に頷いて、口を開いた。
「あの時、朝からお前に呼ばれて何事かと思った。お前に「満島を貸してくれ」と言われて驚いた」
「彼女を俺の目の届く隣りに置こうと思いました。遠ざけることで、満島 凪が俺の存在を消されることが嫌だったので。ここは図々しいくらい俺を覚えてもらい、俺が小堺や川添から守ってやろうと決めたんですよ。結果、実際に河野や小堺に攻撃されてしまった」
俺はあの時の自己嫌悪を思い出す。

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