お前は、俺のもの。
しかし凪の姿が見当たらない。
浴室にも寝室にもいない。玄関は施錠されていたので外に出ていないはずだ。凪にはまだこの部屋の合鍵を持たせていないのだ。
大きな窓へ近づいて外を眺める。
「凪、どこにいる?」
俺に怒って出てこないのか、それとも怖がっているのか。一人にしたことを謝ろうと思っても、どこに隠れているのかわからない。
「もしかして、クローゼットの中か」
寝室へ行こうと、踵を返した。
「?」
何か違和感を覚え、視線をゆっくりと戻した。
窓の鍵が、開いていた。
八月の夜はまだ暑いといっても、ここは十二階。天候によって肌寒い時もある。
そっと窓を開け、ベランダへ顔を出した。
窓と窓の間の壁に背中を預け、コンクリート床に足を伸ばして座っている凪を発見した。
グレーのTシャツとハーフパンツだけの薄着で、少し顔を上にあげて寝息を立てている。
ベランダへ出て、凪の肩に触れた。凪は裸足だ。
「凪」
呼んでみるが、熟睡している。触れた肩は冷たい。
いつからここにいたのだろう。
窓を全開にして、凪を抱き寄せて膝の裏に腕を入れて持ち上げる。
見た目からして、重さの想像はできる。しかし想像できなかったのは、驚くほどの肌の柔らかさだった。
彼女を抱きしめたり肩や腰を抱き寄せたりすることは何度かあったが、抱き上げてわかる肌の感触に背中がゾクゾクした。