お前は、俺のもの。
なんだろう。
鬼の手際の良さが妙に引っかかるのですが。
暗い洗面所に立たされた私は、鬼にバスタオルで体のあちこちをテキパキと拭かれ、バスローブを着せられた。フワフワと柔らかい生地のバスローブだ。髪も丁寧にタオルドライされる。
こんなに暗いのに、まるで見えているような手つきだ。
──まさか、鬼は夜行性?
などと、くだらないことを思ってしまう。
ドアの化粧ガラスから見えるリビングも、廊下も玄関も、灯りのない真っ暗な空間だった。
私は鬼課長に手を引かれて、寝室の中へ案内される。寝室もまた暗くて、握られた彼の手だけが頼りだった。
私は昔から暗いところは目が慣れるまで時間がかかる。多分、暗闇の緊張から私は彼の手を無意識に強く握っているかもしれない。
「すみません…まだよく見えなくて」
「気にするな」
鬼課長はそう言って、私の肩に触れて「座って」と、支えてくれた。
柔らかな、ベッドの上。彼の手は肩と背中に移動して、私は仰向けに寝かされた。
私の上に感じる、人の気配。
心拍数が、加速する。