お前は、俺のもの。

ホッとしたのも束の間だった。

「話を戻そう。色々あって、お前を手に入れるために二年かかった。やっと俺を邪魔するものはなくなった。もう、お前を野放しにしておくつもりはない」
そう言って、鬼の顔が近づいてくる。

「あ、待って」
と、慌てる私に、彼がピタリと止まる。
「まだ、何かあるのか」
おあずけを嫌がる鬼が、低い声で唸る。
私は大きく息を吸った。

「一ノ瀬課長と私の、関係です」

鬼が一瞬両目を大きく開いたが、すぐに「ああ、そうか」と返す。
「そうだよな。昼間にあんなこと言っておいて、自分は言ってなかったな。凪…」

鬼の両腕が私の背中に回り、体を起こされる。
向かい合う体。絡まる視線。


「凪、俺はお前のものになる覚悟がある。お前は、俺のものになる覚悟はあるか」


──鬼のものになる、覚悟。

それは昼間の「俺が好きか」という一言より、重みがある言葉に聞こえた。

これから先、私の何もかも全てが鬼のものになる。そして、鬼の何もかもが私のものになる。

「本当に、私でいいんですか。後悔、しないですか」
「望むところだ。一生、俺だけのものにして可愛がってやる」

暗闇でも整った綺麗な顔だとわかるところが憎いけど、砂糖のような甘い言葉に心臓が痛いくらいドキドキする。
< 198 / 285 >

この作品をシェア

pagetop