お前は、俺のもの。
ホッとしたのも束の間だった。
「話を戻そう。色々あって、お前を手に入れるために二年かかった。やっと俺を邪魔するものはなくなった。もう、お前を野放しにしておくつもりはない」
そう言って、鬼の顔が近づいてくる。
「あ、待って」
と、慌てる私に、彼がピタリと止まる。
「まだ、何かあるのか」
おあずけを嫌がる鬼が、低い声で唸る。
私は大きく息を吸った。
「一ノ瀬課長と私の、関係です」
鬼が一瞬両目を大きく開いたが、すぐに「ああ、そうか」と返す。
「そうだよな。昼間にあんなこと言っておいて、自分は言ってなかったな。凪…」
鬼の両腕が私の背中に回り、体を起こされる。
向かい合う体。絡まる視線。
「凪、俺はお前のものになる覚悟がある。お前は、俺のものになる覚悟はあるか」
──鬼のものになる、覚悟。
それは昼間の「俺が好きか」という一言より、重みがある言葉に聞こえた。
これから先、私の何もかも全てが鬼のものになる。そして、鬼の何もかもが私のものになる。
「本当に、私でいいんですか。後悔、しないですか」
「望むところだ。一生、俺だけのものにして可愛がってやる」
暗闇でも整った綺麗な顔だとわかるところが憎いけど、砂糖のような甘い言葉に心臓が痛いくらいドキドキする。