お前は、俺のもの。

鬼も眉間にシワを寄せて額に汗を滲ませている。それでも、私に触れる手は優しい。
「凪、大きな声で俺の名前を言え」
鬼は熱い息を吐いて、私を見つめる。
私も信じて、大きく頷いた。


「俺の名前は「なぎ」。一ノ瀬 梛だ」


どくんっ。

「?!…なぎっ!ああっ!」

腹部に感じる圧迫感と痛みに耐えきれず目を閉じていく瞬間、目尻を下げて艶めかしく微笑む鬼を見た気がした…。



「…ん」
髪を撫でられている。
気持ちいい。
もうちょっと、と思い擦り寄って安眠を得ようとする。

鬼は私と同じ「なぎ」という名前だった。
この名前がこんなに愛しく思ったのは、初めてだ。

幸せだ。

鬼の静かな心臓の音。

梛の音。

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