お前は、俺のもの。


ポンッ。

軽く肩を叩く手に、私は顔を上げる。
「斉木課長…」
彼は、ふわりと微笑む。
「こっちのことは大丈夫だから。彼を、梛くんを支えてあげて」

斉木課長の横で、加瀬部長がスマホを耳に当てて「一ノ瀬、五分だけ待てっ!」と、叫んでいる。
「凪さん!」
綾乃が私のデスクからカバンを引っ張り出す。
「とにかく、今は凪さんと一ノ瀬課長は一緒にいるべきです!」
「綾乃ちゃん…」

綾乃に励まされたかと思うと、目の前に突然コンビニの袋を出された。
「うぁっ?」
と、ビックリして仰け反る。

「…中に、お菓子とメロンパンが入っています。お腹が空いたら、食べてください」
由奈が視線を逸らして、ボソボソと呟く。袋の中にチョコレート菓子と、メロンパンが二個入っている。
思わず嬉しくなり、
「由奈ちゃん、ありがとう」
と、お礼を言う。
彼女は照れ臭そうに、コクリと頷いた。

「満島、早く行け」
と、加瀬部長が急かす。
「はい。行ってきます」
私は営業部のみんなから「気をつけて行ってこいよー」と声をかけられながら、事務所を飛び出した。

鬼課長は何を発注したか。
鬼課長は何故教えてくれなかったのか。

私は知りたいことを胸に、駐車場へ走った。


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