お前は、俺のもの。

昨日の午後七時半から始まった、査問委員会。

一ノ瀬社長をはじめとする取締役四名、監査部長、コンプライアンス部長、総務部長、企画部長、営業部の加瀬部長と斉木課長、そして一ノ瀬課長。
この厳粛な顔ぶれと空気の中で、関係者として呼ばれた人物は聞かれた質問に答えなければならない。
過去に一人か二人、この査問委員会の的になった社員がいたらしいが、その直後に退職したという。噂では上層部の方々がかなり鬼気迫る質問を繰り広げ、相手が質疑応答ができなくなるくらい精神的に追い詰めたとか。
まるで拷問だ、と査問委員会を恐れたことがあった。

今回の関係者として、最初に呼ばれたのは関口由奈と小堺るみだった。二人とも大魔神たちを目の前にして、真っ青な顔をしていたそうだ。
主に質疑をするのは、鬼課長だった。
関口由奈は鬼課長の質問に否定することなく、行いを認めたそうだ。小堺るみの言動に流されるままだった。SNSの炎上を根に持っていたため、私に冷たい態度をとったり、ロッカーの落書きも黙認していた、と。
小堺るみは鬼課長からロッカーの落書きを指摘され、体を震わせていた。
「上司の俺が小堺の筆跡が分からないわけがない」
と、ロッカーに落書きされた写真を見せられて、彼女は観念したらしい。
小堺るみの私に対する行動は、全てがずっと片思いしてきた鬼課長を私に取られたと思い込んだ、「嫉妬」から来るものだった。

「私の方があの人より、ずっと近くで一ノ瀬課長を支えてきたのに!あの人がいきなり出てきて横取りしたのよっ!」

目を光らせる彼らを前に、声を震わせながら叫ぶ小堺るみ。
しかし、その叫びを粉砕するくらいの氷の刃を刺したのは鬼課長だった。

「支えて欲しい、と言った覚えはない。あなたの行為は、迷惑以外何物でもない。それにアイツが俺を「横取り」したのではなく、俺がアイツを「捕獲」したんだ。間違えるな」

小堺るみは、一縷の望みさえも叶わなった。

彼女は私情から会社の備品を故意に傷をつけた悪質なイタズラとして処理されることとなった。
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