お前は、俺のもの。
「企画部市村係長から、査問委員会へ委任状を預かっています」
企画部長は書類を広げて出席者へ掲げる。そして鬼課長へ提出され、彼は書類を確認した。
「確かに」と、了承してそれを社長へ渡した。
市村係長本人は朝から体調不良で欠勤となっていた。委任状は今朝、企画部長のデスクに置いてあったらしい。まるで本人は査問委員会に呼ばれることを見越していたような、そんなタイミングだった。
「皆さんもご覧の通り、企画部市村係長から「査問委員会に対して、営業部発注品無断キャンセルについて証言及び物的証拠に一切異議申し立てをしない。会社から決定された処分を謹んで受け入れる」という委任状を頂きました」
鬼課長は質疑の席で、悔しそうに「はあぁ」と大きく息を吐いた。
「一ノ瀬リビングを華々しく世に宣伝し広めた、その優れた才能とセンスの持ち主の市村係長が何故、こんな馬鹿げたことをしたのか。俺個人としては、悔しくて仕方ありません。しかし彼のことを話すには、もう一人、重要な人物のことを話しておきたいと思います。
……川添穂香のことを」