お前は、俺のもの。
「ふぅん、なるほどね。生まれたときに自分に名前をくれた謎の女の子、「なぎちゃん」。梛くんは彼女を探す決心をしたから、女遊びをやめちゃったわけね」
居酒屋で枝豆と唐揚げをつまみに、梛の先輩の斉木斗真はビールのジョッキを傾ける。長身で小顔、モデルのような綺麗な顔立ちの彼も、大学では人気が高い。
向かいの席で梛は不貞腐れた顔をしていた。
今日はその斗真の卒業祝いに、駅前の居酒屋にいた。
「女遊びなんてしてないですよ。向こうから誘ってくるんです。それに俺は「なぎ」なんて女も探す気はないですよ」
「ここ毎日、梛くんと一緒にいた女の子たちが来るんだよ。「一ノ瀬くんが相手をしてくれない」って。だから言っておいたよ」
斗真は枝豆をつまんで、意地悪そうに微笑む。
「彼女ができたんじゃない?って」
「え…」
梛は枝豆を食べる斗真の前で、片手で顔面を覆った。
「斗真先輩、またそんなデタラメを」
「でも、オレも周りを女の子たちにウロウロされると困るんだよね。…気になる女の子を見つけたから」
「……え?」
中性的な綺麗な顔でニッコリと笑う斗真に、梛は口をポカンと開いた。
今まで女の子たちを軽くあしらってきた「キャンパスの王子・斉木斗真」に、とうとう本気になった女が現れたというのか。
「…大学の子ですか?」
「いや。多分、社会人。朝の電車で時々見かけるんだ」
斗真のことだ、本気となれば何か接点を見つけて近付いていくだろう。
「だから、例え大学の中でもあまり女の子と親しくしないようにしたんだ。大学の外で自由に動けるように」
なるほど。女は大学の外でも声をかけてくることがあるからな。
すると、「それで?梛くんは?」と聞かれた。