お前は、俺のもの。
「ただいまー」
ちょうど家に着いて、玄関で靴を脱いでいる時だった。
スマホの着信音に気がついた。
登録にない、知らない番号。
──間違い電話かな?
そう思っていると、着信音が切れた。
すると、今度は加瀬部長から着信があり、すぐ通話をタップする。
「はい、満島です」
『加瀬だ。こんな時間に悪いな。一ノ瀬に代わる』
そう言われて、すぐに「もしもし」と低い声が聞こえた。
『まず、さっきの着信番号、俺のだから登録しておいてくれ』
少し慌てた言い方をされて、何かあったのかと思い「はい」と返事をする。
『今日、送付を頼んだ二つの書類、ちゃんと宅急便で送ったか?送り状のコピーがファイルされていない』
「え?」
私は送り状のコピーを営業企画へ持って行ったことを思い出す。
「小堺さんに「ファイルをしたいから貸してほしい」と伝えたら、「後でやるからカウンターに置いておくように」と言われて、そのままカウンターに置いてきました」
私の言ったことに、鬼課長は少し黙っていた。
まだ玄関にいた私に、「凪、帰ったのー?」と母の声が奥から聞こえた。