お前は、俺のもの。
ああ。この空気、なんとかして。
自宅の和室で座卓を挟んで目の前に座る鬼課長は、私を睨むように見据えたまま何も言おうとしない。
私は、
「お疲れ様です。昨日から丸一日眠っていたようで、電話も出ずにすみません」
と、ぺこりと頭を下げておいた。そして、ロング丈のTシャツと楽なパンツ姿で鬼課長の前に座っている。
綾乃には「鬼が奇襲に来ました」とメッセージを返してある。
多分、一分から二分くらいのものだが、無言の時間がスゴく長く感じた。
──自分の家でこんなに緊張するのは初めてだわ。
と、心の中で大きなため息を吐く。
私から何か言った方がいいのだろうか。迷った挙句、仕方なく口を開いた。
「あの…」
「俺は助手を変える気はない」
鬼課長は声のトーンを落とし、低い声で言った。