お前は、俺のもの。
二十時になろうとした頃。
「こんな時間まで、何をやっている?」
この声に、ギクリと背中が凍る。
振り向くと、鬼課長と広報のプリンスが立っている。
綾乃が「お疲れ様です」と、画面を見ながら声をかけるので、私もゆっくりと振り返り「お疲れ様です」と小声で言った。
しかし、鬼課長はそれに答えず、私のチェックしている数字だらけの表を見ていた。
「これは、今のお前の仕事じゃないと思ったが?」
彼は眉間のシワをクッと寄せて、私に視線を移す。
「そうです。凪さんのやっている仕事は、今は由奈ちゃんの仕事なんです」
困惑している私の代わりに、綾乃がそう言って既に帰った由奈のデスクに顔を向けた。
「先日、彼女に言ったばかりなんです。「終われそうにない仕事は前もって言うように」って。今日の仕事だって、ちゃんと配分すれば十分時間内で終われる作業量だったんです。おかげで私達は残業です」
と、口をへの字に曲げてキーボードを叩いた。