お前は、俺のもの。

「満島。あと残っている仕事はどれだ?」
と、いつの間にかいなくなっていた二人が事務所に戻ってきた。

私はパソコンに向き合いながら、
「お盆の営業時間の案内の書類作成だけです。時間はかからないので、私だけで大丈夫です」
と、綾乃と鬼課長たちを先に帰らせようとした。

少なくとも鬼課長は川添穂香との約束がある。ここで引き止めるわけにはいかない。

するとキーボードを打つ手を、大きな手でそっと握られた。

「それは俺達が作っておく。お前と夏川は着替えてこい」

見上げれば、すごく近くに鬼課長の整った顔があり、不覚にもドキリと胸が高鳴った。
そして市村係長もやってきて、
「その案内の書式なら去年のがあるから、日にちの変更をするだけだよね。すぐに終わるから大丈夫だよ」
とニッコリと微笑む。

私は躊躇ってみたものの、
「でも、一ノ瀬課長、今日は……」
──川添さんの約束はいいんですか?
と聞こうとしたが、鬼課長に「早く行け」と先に言われてしまい、綾乃を連れて仕方なくロッカールームへ向かった。

< 59 / 285 >

この作品をシェア

pagetop