希望の華
人生、何が起こるかなんてわからないものだとつくづく思う。
いつも通りの生活をしていたら突然幕末送り。
そしたらあっという間に監禁。
でも不幸中の幸いと言えばここでは見張りはあるものの、食事は毎日出されるし
予想していたような拷問も受けることはない。
決していいものではないが、生命の保証はされる。
ありがたいものと思うことにした。
それからこれはいいのか悪いのか。
毎日ここを訪れ、私と話をするもの好きがいる。
今日もそろそろ。
あ、ほら来た。
「有栖君、ほら。持ってきたぞ。」
「有栖と呼ばないでください。神楽と呼べとあれほど頼んだのに。」
「悪い悪い。そうだったな。」
彼は笑いながら私を縛る縄をほどく。
彼の大きな体から発せられる大きな笑い声に、私は耳をふさぎながら渡された握り飯をほおばる。
ここに入れられて何日だろう。
当初は違う隊士が食事を持ってきたが、今では当たり前にこの人が持ってくる。
「私、いつまでここにいればいいのやら。」
「さあ、トシの気の済むまでだろう。」
彼の返答に一応頷いてはみたが、トシとはいったい誰を指すのかはわからない。
「私、使いようによちゃ、武器にもなるのに。」
「なんの話だい。」