いつか、きっと。
「悪かったな……明日美……。俺のために……。もう……」

言いたいことはだいたい分かる。

せっかく自分の誕生日祝いをしてくれてたのに、こんな風に早々にダウンしてしまったことを私に悪いと思っているんだろう。

「頭痛かとやろ?少し眠ったほうがよかかも。明日休みやし、ゆっくり休めばよかよ。お水は……。ちょっと冷蔵庫見せてもらうばい」

勝手知ったる人の家。

留守のお宅を探るのは気が引けるけど、冷蔵庫を開けさせてもらう。

あ、スポーツドリンクがある。

これは友也がよく飲んでるから大丈夫だよね。

部屋に用意しとけば、目が覚めた時にすぐ飲むことができるし。

部屋に戻ると、お酒飲みすぎて意識が朦朧としているのか、掛け布団の上にドカッと横になって眠ろうとしている友也の姿が目に入った。

「ああもう!そいじゃここでも風邪引くって友也。ほら一回起き上がらんね。ちゃんと布団かけんばダメさ。ほらほら、友也ってば」

私の声に反応しない友也の体を横に押し退けて、掛け布団を引っ張ろうとしたけど無理だった。

それでも諦めずぐいぐい体を押していると、やっと気がついてくれたようでゆっくりと体を起こした友也。

「ごめん……。あ……」

友也の体がふらつくのを支えてやると、自分で掛け布団を引っ張り上げてやっとベッドに収まった。

やれやれ、これでもう安心かな。

でも具合が悪くなって目を覚ますかもしれないし、酔いが酷かったようだからまだちょっと心配。

まだ遅い時間でもないし、しばらく友也のそばに居よう。

友也の寝顔をこんなに間近で見られるなんて初めてだ。

酔っぱらっているせいだろうけど、こんなに無防備な寝顔を見せてくれるのは私だから……よね。

顔が少し赤くて息が荒いけど、頭痛大丈夫かな……。

まさか熱出したりしてない?

いろいろ考えると落ち着かなくなってきた。

友也の前髪をそっと横に掻き分けて、おでこに手のひらを当ててみた。

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