いつか、きっと。
「どうしてって、それは……」

私が聞きたいくらいなのに。

そんなこと、上手く説明できる訳がない。

私だって、フリなんかじゃなく本物の彼女になれたらとずっと願っていたんだから。

でも、もし説明できるとしても言いたくない。

私と友也の秘密について、未来には知られたくなんかない。

「明日美って、秘密主義なのね。大事なことはなんにも話してくれないんだもん。でも御子柴くんと話してみてよく分かった。二人がちゃんと付き合ってないのなら、えっちしないのも納得した。なにも作戦立てて御子柴くんに探りを入れる必要なんてなかったじゃないの。バカにするのもいい加減にしてほしいわ」

「ばっ……バカになんかしとらんよ!私はいつだって真剣やったと。そりゃ未来には嘘ついたりして悪かったけど。私と友也の間にある秘密は誰にも言えんって思っとったし。いくら親友の未来でもね。だけど、私が友也のこと好きって気持ちは嘘じゃなかよ。中学の時からずっと友也が好きやったとやけん」

そうよ、ずっと私は友也だけが好き。

もう十年以上も友也に恋い焦がれ続けている。

嘘だらけの私かもしれないけど、友也を想う気持ちだけは真っ直ぐで曲げようもない真実だ。

「そう……。中学からねぇ。本当は小学六年生のころからじゃないの?」

「な、なんでそう思うの……?」

確かにあのファーストキス以来、友也のことを異性として意識するようになっていった。

でもはっきり好きだと自覚したのは中学生になってからのこと。

自覚はなくても好きになっていたのかもしれないけど。

「まあ、そのことについては今は置いといて。それじゃあ聞くけど、明日美はその好きだって想いを御子柴くんに伝えたことがあるの?一度でも告白したことある?」

「……ないよ。一回も告白なんてしたこと、ない」

それだけじゃない。

友也からも『好き』っていう言葉をもらったことはない。

それが、私たちの関係が偽りだという何よりの証拠。

彼女の"フリ"をするっていう契約だから、それ以上の関係にはなれなかった。

< 196 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop