いつか、きっと。
「それじゃあ言うけど。私ね、ずっと明日美のことが羨ましかった。みんなから好かれて、優しくて朗らかで、私も明日美が大好きなの。だからね、私も明日美みたいになりたい。明日美のポジションが欲しいの。言ってる意味分かるでしょ?明日美の代わりに、私が御子柴くんと付き合うってこと。それで明日美の嘘をチャラにしてあげる」

そうだった。

未来がいじめられてたっていう事実が衝撃的すぎて、忘れかけてた。

未来が友也に抱きついた場面を目撃してしまったこと。

友也から連絡が来ないこと。

未来が友也と付き合うことになったと言ったこと。

私の過去の罪がこんな形で私に罰を与えるなんて。

自分の蒔いた種とはいえ、こんなの簡単には納得できない。

「ちょっと待って未来!友也はどうなの?私、あの一週間前のダブルデートの日からずっと友也と話しとらん。だって連絡きとらんとよ」

「明日美、御子柴くんに会っとらんと?」

「会っとらんよ。だって私……」

『インフルエンザだったから』

と言いそうになったのを、なんとか押し止めた。

それこそ同情を買おうとしてるみたいだから。

未来の痛みや悲しみとは比べものにならないだろうけど。

「友也から連絡なかし、私からもしとらん」

「なんで?なんで連絡せんと。隣に住んどるけん、会おうと思えばすぐ会えるとに。……逃げとるとやろ。明日美ってそがんとこあるよね。嫌なことは後回しにしようとするところ」

まったくその通り。

友也からも指摘されたことがある。

私は学生の頃からちっとも成長できていないのかも知れない。

「御子柴くんがどう思っとるとかは、本人から聞かんね。私がいろいろ言うても明日美はどうせ信じらんやろ?」

そう言うと席を立った未来。

「私まだ御子柴くんのことよう知らんし、いろいろ相談にのってね明日美。だって私たち親友やろ?ああ、それからこれも言うとかんば。私たちが付き合うけんって、明日美に御子柴くんと会うなとは言わんけん安心して。だって明日美と御子柴くんだって親友やもんね。隣におるとに会うなっていうとも無理な話やし。三人で遊ぶともいいかもね、この前みたいに瀬名くんば誘っても……。ああでも瀬名くんはもうすぐ転勤やったっけ。そういう大事なことも教えてくれんとよ明日美は。秘密主義もどうかと思うよ。じゃ、私もう帰るけん。またね……明日美」

一気に捲し立てるように言い切った未来は、私に何も言わせないように私の前から去っていった。

「待って、未来!ねえ未来ってば!」

思わず立ち上がり、後ろ姿に呼びかけたけど、未来は振り返ることもなく店を出ていってしまった。

未来の姿が見えなくなるまで見届けると、へたりこむようにまた腰を下ろした。

どうしてこんなことになってしまったんだろう……。

未来と友也が付き合う?

未来はイケメンじゃないと好きにならないんじゃなかったの……。

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