いつか、きっと。
テーブルの上にはコーヒーが二つ。

私も未来も結局手をつけることがないままだった。

そして未来が飲むはずだったのコーヒーのそばには、小銭が置いてある。

百円玉が三枚と五十円玉が一枚と五円玉が一枚。

コーヒー代が税込でお釣りがないようにきっちり積み上げられていた。

いつの間に……。

全然気付かなかった。

このまま飲まずに帰るのも嫌だったから、冷めたホットコーヒーをブラックのまま口を付ける。

「…………苦っ」

普段ブラックを飲みつけないからか、ひどく苦く感じてしまう。

私の今の気分にぴったりだなと妙に納得しながら、また一口飲む。やっぱり苦い……。

何杯も飲めばこの苦さに慣れることができるのかな。

ブラックコーヒーを平気で飲めるくらいに苦さに慣れたら、この胸の痛みも少しは楽になる?

未来に嘘をついたのは、私の過ち。

未来を傷つけ、苦しい思いをさせてしまった。

取り返しのつかない、私の罪。

『明日美のことが羨ましかった』

本当に?

未来のことを羨ましいと思っていたのは私の方なのに。

だって未来は田代先輩とちゃんと愛し合っていて、お互いの『好き』という気持ちだって伝え合っていたはずだし。

遠距離で離れているとはいっても絆はしっかりと結ばれていると思っていた。

私と友也は、家が隣同士。

そして小学生からの親友。

高校生で偽者だけどカレカノになった。

偽りの恋人契約はいつまで続くのかとヤキモキしていたのは事実だけど、まさかこんな形で終わりがくるなんて思ってもいなかった。

友也が私との関係を本物にしようとしなかったのは、このため?

未来と結ばれる日を密かに待っていたのだろうか。

未来が田代先輩との関係に悩んでいたというのは、友也にとっても好都合だったのかな。

私は勘違いしていた。

契約が"無期限"というのは、なにも"永遠"というわけではなかったのだ。

ただ、期限を設けていないだけ。

その期限が今だった、ということ。

< 203 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop