いつか、きっと。
「御子柴……」



瀬名くんの視線の先をたどると、そこに立っていたのは私が好きで好きで仕方がない人。

……なんでここにいるの?



「約束の時間は三時やろ。まだ……」



え……どういうこと?

約束だなんて、一体どうなってるんだろう。

もしかして瀬名くん、私が友也に会うつもりないって言ったから?

だから私に内緒で友也に連絡してたとか。



私が一人で内心テンパってる間に、瀬名くんが立ち去ろうとしている。

やだ待って、まだ心の準備ができてない。

今ここで友也と二人きりになるなんて困る。



「お願い瀬名くんまだ行かんで。ここにおってよ、お願い!」



なんとか瀬名くんを引き留めた。

しかし気まずい空気をどうしたらいいのだろう。



「ここじゃなんやし、移動すっか」



アミュプラザの中で立ち止まったままでは、通行人の邪魔になってしまう。

だからといって三人でスタバにお茶しに行くという雰囲気でもない。

瀬名くんと友也の後に従って、微妙な空気を維持したまま移動した。



アミュプラザの二階からそのまま外に出て、高架広場の一角に陣取る。



空は薄暗く曇っている。

まるで私の心のよう。



「明日美、お帰り。この前俺が言ったこと覚えとる?俺、明日美に言わんばことあるし、ゆっくり話したかとけど」



そりゃ私だって友也と話したいし、聞きたいこともたくさんある。

でも友也ときちんと向き合う覚悟がまだ出来ていないから、今はまだ無理。

こっちにだって都合というものがある。



「……今更、何?私たちもう契約解除してしもうたし、私はもう友也の偽者彼女ですらなかよ」



今までの私は友也の望むように、したいようにと心がけてきた。

それって、友也にとっては都合のいい女だったってことなのかな。



「契約って……未来さんと御子柴のことじゃなかったとか?」



瀬名くん……。

いつの間にか友也と仲良くなって、私の知らないところで連絡取り合ったりして。

私が知らないことだって知ってるようだし。

なんだかムズムズしてくる。



「私と友也の関係は、偽りやったと。だけん友也が未来と付き合おうがどうしようが私の知ったことじゃなかし。つまり、私がどうしようが友也にも関係なかよね」



「ちょっと待って明日美。だけんがそのことについて二人で話したかっさ」



今日の私は素直じゃないんだから。



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