いつか、きっと。
「私は別に……。言いたかことのあっとならここで聞くけど。ていうか瀬名くん、さっき『約束の時間』とか言うたよね。私なんも聞いとらんとけど?」



私に内緒で約束してたってことだよね。

なによ勝手なことしてくれて。

私の気持ちなんて無視しちゃってさ。

信じられない……。



「生田は御子柴に会うつもりなさそうやったし。強引にでも会わせた方がよかような気のして、勝手にこがんことして悪かったけど。あのさ、二人とももうなんも遠慮することなかやろ。思っとることば全部ぶちまければ?」



思っとること全部?

今ここで?

急にそんなこと言われても、まだ私の心はちゃんと整理できてない。

ぶちまけるにも何から言えばいいのか。

言いたいことが山ほどありすぎて、頭の中がぐちゃぐちゃだ。



「明日美、俺は……」



「わ、私っ!…………瀬名くんと付き合うことになったけん!!」



友也から何か言われる前に私が何か言ってやりたくて、とっさに出たのがコレ。

ちょうど瀬名くんも一緒にいるし、私の手には瀬名くんが買った指輪がある。

あとは瀬名くんが私に合わせてくれれば。



瀬名くん、お願い空気読んで!




「おい瀬名!お前、まさか」



「ちょっ、なんで!俺は御子柴には感謝しとるし、まさか裏切るようなことはしとらん」



もうっ!

瀬名くんのバカバカ!

ちょっとは私にも協力してよっ。

仕方ない、ここは強引にでも押し切るしかない。




「ほらっ見てよ!これが何か分かる?」



アクセサリーショップの紙袋を友也に掲げて見せた。

さすがに友也でもこの紙袋の中身は想像つくだろう。

それに賭けるしかない。



「指輪、か?」



ご名答。

ここまでくれば、あともう一押し。



「…………そうよ。指輪って言ってもただの指輪じゃなかよ。これは、瀬名くんの真剣な想いが込められた贈り物」



本当は私ではなく、唯子さんへの愛の詰まった贈り物なんだけどね。



「俺、さっきお前ら二人がアクセサリーショップにおるところば見とった。明日美が自分で買いよるとかと思うたけど、瀬名が明日美に手渡すところも見たし。それってやっぱり……」



「友也、見とったと?そうねそんなら詳しく説明する手間の省けてよかった。瀬名くんからの大事な大事な贈り物やけん、大切に持っとくけんね」



今だけはこの指輪は私の物。




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