いつか、きっと。
階段の上を見上げるようにして、ようやく友也を見つけることができた。



その姿が目に映ってホッとしたのか力が抜けそうだった。

涙腺が刺激され、涙がこみあげてくる。

だけど今は泣くわけにはいかない。

少しの間歩みをとめていた友也が、また歩き出し階段を下り始めた。



反射的に私も前に向き直り、再び階段を下りようとした。

だけど、逆に階段を上ってきた人と軽くぶつかってしまい……。

私の体はグラッと大きく揺れてしまう。



「危ない明日美っ!!」



え……私………………。

傾いていく体を立て直すことができない。

友也が私に向かって手を伸ばしているのが見えたから、私も必死に友也に届くようにと腕を伸ばした。







その後は、何がどうなったのか……。

正直言ってよく分からなかった。

気がついた時には私は友也の上に乗っかっていて、しかも友也の腕に包まれるようにしっかりと抱きしめられていた。



階段から落ちたはずなのに、どこも痛くないのは友也が守ってくれたからだ。



「友也、友也!!大丈夫?しっかりして!」



自分がまず起きようとするけど、友也の腕が私に巻き付いたままで動けない。



「……捕まえた。もう離さんけん、もう俺から離れんで、明日美」



ああ良かった。

友也、ちゃんと意識がある。

だけどこの体勢をなんとかしないといけないよね。



「友也、体は大丈夫と?起き上がれる?」



まず私が退かないと友也が起きれないから、早く動きたいと思うのに。

ずっと抱きしめられたままで身動きが取れない。

このままでは埒が明かないから、私がなんとかして友也の腕から抜け出さなくては。

だけど、更に力強く抱きしめられてしまう。



「ねぇ、友也、友也ってば……んっ…………」



抵抗する私の言葉が遮られたのは、唇が塞がれてしまったから。

火傷しそうなくらいに熱い、友也の唇で。



ここが何処なのか、今どのような状態でいるのか。

全てを忘れてしまいそうになる。



恋しくて、愛しくて、ずっと忘れられなかった友也とのキス。

もう二度と交わすことなんてないのかもしれないと思ったりもした。

唇から伝わってくる熱が、私の体を熱くさせる。

このまま二人で溶け合ってしまいたい……。



熱に浮かされ、口付けに溺れてしまいたくなる。

だけどギリギリのところで理性が私を押し止めた。



< 293 / 317 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop