いつか、きっと。
「なあ明日美。出張帰りにしては荷物の少なかった気のするけど、コインロッカーに忘れてきたりしとらんか?」



やっぱりそこ気付いた?

福岡へ向かったあの時も、手荷物は少なかったんだよね実は。

先に宅配便でほとんどの荷物は送ってたからなんだけど、全然出張らしくなかった。

友也がそこを怪しく思わないか気になってはいた。



「大丈夫。だって私また福岡に戻らんばけん。会議に参加するための一時的な帰崎なんだ……」



『信じられない』と友也の顔に書いてある。

そりゃそうだよね……。

長期の出張になるなんて言ってないし。

私もまさかこんなに早く戻るつもりなかったし。



「お前、福岡行く前俺に『一週間くらい』って言うたよな。そうは言うても帰ってくる日の分からんかったし、待ちきれずに今日福岡まで行くつもりやったけど。瀬名から今日帰るって聞いたけど、一時的な帰崎とは聞いとらんし」



瀬名くんもあえて詳しくは言わなかったのかな。

私には友也の人生プランまで教えてくれたのに。

読めないなぁ。



「ごめん友也。本当はこがん早う帰るつもりなかったと。だって友也と未来に笑って会う自信なかったし、赤ちゃんのことも祝福なんかできんと思ったし」



今は誤解だったと分かってるけど、本当に苦しかった。

赤ちゃんのことももちろんそうだけど、友也が私とは深い関係を避けていたのに、未来とは進展が早すぎると思って嫉妬に狂いそうだった。

自分がどんどん醜い女になっていくようで怖かった。



「青柳さんの妊娠のこと、誤解させたとも全ては俺の責任。辛い思いさせて悪かったな。俺は明日美以外は有り得んし、これまでもこれからも俺は明日美だけのものやけん、信じてくれんか?」



未来がちゃんと赤ちゃんの父親は田代先輩だってことを言ってくれれば変な誤解をすることもなかったのに。

あの時の未来は情緒不安定だったようだし、気が動転していて余裕がなかったんだろうけど。



だけどもう水に流そう。

いつまでも愚痴っているなんて嫌だし。

今度未来に会ったら笑顔でお祝いしてあげたい。

未来と田代先輩にも幸せになってほしいから。



「ちょっと前まではどん底で辛かったけど、今は友也と一緒にいられて幸せだよ。だからこれからも……信じてる。でもしばらくは、遠恋だね」



ずっと同じアパートで隣同士だったのに。



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