いつか、きっと。
これからしばらくは、長崎と福岡。

同じ九州だし近県だとはいっても、今の私たちにとってはかなり遠く感じる距離だ。



「じゃあ……。出張はいつまでの予定?」



「それは月曜日の会議で正式に決まるらしか。小野さんの話では、瀬名くんの復帰が思ったより早かけん交代の時期も早められるかもしれんって。最初の予定では一年くらいとか……」



せっかく福岡で頑張るからには、パワーアップして長崎に戻って来たい。

そのためにはじっくり腰を据えて実力を身に付けないといけないけど、友也と遠恋になるのは辛い。



「マジか!でも俺はもう我慢するとは嫌やけん、明日美が出張終えて帰ってきたら直ぐにでも入籍しようで。勿論結婚式の準備もしていかんばな。忙しくなるやろうけど、俺に着いてきてくれるよな?明日美」



入籍……!

私、生田から御子柴に苗字が変わるんだよね。

『御子柴明日美』かぁ。

なんか語呂が馴染まないような気がするんだけど。

でも少しくすぐったくて、凄く嬉しい。



「うん。一緒に歩いていくって決めたけん。ねえ、今って私の立場なんかな?友也の彼女でよかと?偽者じゃなくて、正真正銘の彼女!」



『勿論、俺の彼女は明日美しかおらん』って言ってほしかったのに。

友也はなにも言わずに私を抱きしめてくれた。

言葉じゃなく、体で答えてくれたのかな。



「俺も、もう偽者彼氏じゃなか。明日美の彼氏は俺以外おるわけなかし」



…………その通り。

私の彼氏は後にも先にも、友也だけ。

ぎゅーっと力強く抱きしめられ、幸せを噛み締める。

友也の背中に回した腕に力を込め、私もしっかりと抱きしめ返した。

ずっとこのまま、くっついていたいな。

なんて、そんな訳にはいかないと分かってはいるけど……。  



私の体に巻きついていた友也の腕がゆるみ、ほんのちょっとだけ残念に思ってしまう。

だけど友也の手は私から離れていくことはなく、背中を優しく擦って私を安心させてくれた。



背中から肩に移動した手が次の展開を予感させる。

期待に胸を震わせ、目の前の愛しい人を呼んだ。



「友也…………」



私を見ている友也の目がとても優しい。

ああ、やっぱり私、友也のことが大好き。

だから……お願い友也。

早く…………。



「明日美、目ば閉じて」



瞬きする間も惜しいくらいにずっと見つめ続けていた。



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