いつか、きっと。
早く触れてほしい。

でもがっついてるとは思われたくなくて、勿体ぶるようにゆっくりと目を閉じた。



……あれ?

待ちきれないとばかりにすぐに奪われると思ったのに。

放置された私の唇が、早く早くと誘うように開こうとするのを止められない。

焦らしているの?友也…………。



友也の顔が近づいてくる気配を感じ、いよいよだと胸の鼓動が高鳴っていく。



駅前でもキスしたばかりだけど、あの時は予想外過ぎて驚きが大きかった。

外だし、たくさんの人達に見られるし、階段から落ちた後だし。

恥ずかしさに支配されて、キスを堪能することなんてできなかったんだから。

やっぱり誰にも見られずに二人きりの空間で、なにも気にせずじっくりと……。



ブブブブブブブブ



お互いの唇と唇がいまにも触れそうって時に、聞こえてきたのは、鈍いバイブレーションの音。

私が持ってきた携帯が発した着信音じゃないかな?

会社から支給されている携帯だから、番号を知っているのは会社の上司か同僚くらい。

それか、私の両親か……。



「あ…………メールの来たとかも」



思わず閉じていた目を開けてしまった。

ごめんね、友也。



お母さんに御子柴家にいる知らせといたから、頃合いを見計らってメールしてきたのかも。



「なんか知らんけど、見てみれば」



せっかくキスしようとしてたのに。

直前で邪魔されたのに。

意外とあっさり解放され、物足りなさを感じてしまう私って……。

メールなんて後回しにしても良かったんだけど、最初に反応してしまったのは私だった。

焦らなくてもあとでゆっくりできるじゃないの。

メールの内容も気になると言えば気になるし、とりあえず見てみよう。



携帯を開いて未読メールを開く。

やっぱりお母さんからだ。



『どんな感じ?ラブラブしたかやろうけど、お父さんが帰ってきてからずっとそわそわしとるよ。晩御飯も用意できたし早う来んね。食事の前に言いたかことあるんじゃない?待っとるけんね!』



……わあ。

もしかして期待されちゃってるみたい。

あんまり友也にプレッシャーかけたくないけど、一応伝えないとね。

どんな反応するだろう。



「あのね友也、お母さんがね、友也も晩御飯一緒に食べようって。その前になんか言いたかことのあるとやったら早う来んねって。お父さんも帰ってきたらしかけど、どう?」



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